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よく聞くいじめ問題の話。その「わかりやすさ」にとらわれていませんか?

『囚われのいじめ問題 ― 未完の大津市中学生自殺事件』北澤毅、間山広朗(編)

『囚われのいじめ問題』

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推薦者

稲葉 浩一  大学院(旭川) 高度教職実践専攻

推薦のことば

 教育大生なら「大津市中学生自殺事件」を聞いたことがあると思います。本件は10年前に生起し、その事件から半年以上経った後に突然「自殺の練習がされていたというアンケート結果を教育委員会が公表していなかった」とメディアで取り上げられ、毎日のように過熱的な報道が繰り返された事件です。これによりいじめ防止対策推進法や道徳の教科化が成立するなど、本件は社会に極めて大きなインパクトをもたらしました。みなさんも授業で本件の名前を聞いたことがある人は多いかと思います。
 しかしながら偶然本件が社会問題化する前から調査をしていた本書の研究チームは、この報道や社会の動きに強い違和感や疑問を抱きます。推薦者であり執筆者でもある私もその中のひとりです。本書は、この違和感や疑問をもとに、第三者委員会報告書、地裁・高裁判決文、あらゆる関係者へのインタビューを繰り返し、メディアや世間一般で語られているそれとはずいぶん異なった本件の姿を描き出します。そのうえで、私たち社会が定型化された「いじめ問題」に囚われてしまっていることの問題点を鋭く指摘します。
 単なる教員採用試験対策のためではなく、「覚えるべき答え」を覚えるためでもなく、この社会にとって、教師にとって、子どもたちにとって、「いじめ」とは何なのか?そのこと自体を考えるために本書をお勧めします。

図書情報

『囚われのいじめ問題 ― 未完の大津市中学生自殺事件』
北澤毅、間山広朗(編)
出版社:岩波書店/出版年:2021年/ISBN:9784000614887

※推薦者の所属・身分は2022年3月時点のものです。

記事の種類: 

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