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日本の伝統芸道における「わざ」習得の認知プロセスから新たな知識観、教育観を問い直す

『「わざ」から知る』 生田 久美子(著)

「わざ」から知る

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推薦者

中西 紗織(なかにし さおり) 釧路校 学校カリキュラム開発専攻/准教授

推薦のことば

子ども(学習者)が何かを「わかる」・「できる」ようになるとはどういうことか。
そのことの意味やそのプロセスで起こっていることを理解したい人に薦めたい一冊。
著者の生田氏は、日本の伝統芸道における「わざ」習得のプロセスに着目し、
そこに現代の教育的状況には無い、人間の教育に重要な教育的価値を見出し、新たな知識観を明らかにしようとしている。
その文脈においては、子どもがひとりでパジャマを着ることができるようになることも論理的に捉えることができる。

従来は優先的に身体技術、技能の問題として取り扱われ、
「わざ」の世界の部外者にとっては神秘的プロセスとして扱われてきた「わざ」習得のプロセスを、
学習者の認知的プロセスに光をあて解き明かしていることが本書の意義といえるだろう。
また、「わざ」習得の認知プロセスの構造を「守・破・離」や「三人の自分」という段階とも組み合わせ、
世阿弥の言葉や教育学・教育哲学からの概念・用語を用いながら論じ、見える化(図式化)していることも大変興味深い。

この新装版(初版は1987年出版)では、最後に新たに「『わざ』から『ケア』へ」という解題が加わり、
ケアリング論と「わざ」の教授・習得との連関において、
師匠(教える者)、弟子(学ぶ者)、仲間との教育的関係が論じられ、
「知識」をめぐる新たな展望が示されている。

図書情報

『「わざ」から知る』
生田 久美子(著)
出版社:東京大学出版会/出版年:2007年/ISBN:9784130151566

※推薦者の所属・身分は2019年3月時点のものです。

記事の種類: 
Reading Well ―教育大生に贈る本― 目次