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学生選書ツアー(平成20年度第2回)

実施報告

平成20年11月21日(金)紀伊國屋書店 札幌本店にて、読みたい本、図書館に置いてほしい本を直接書店で選んでいただく学生選書ツアーを実施しました。今回は、6名の学生の皆さんが参加してくれました。学生の皆さんありがとうございます。

選書リスト

ツアー参加者Aさんの感想・選定図書の推薦文

感想

図書館では図書の購入希望を申し込むことができますが、必ずしも希望通りに図書が入るわけではありません。その点、選書ツアーでは選んだ図書はほぼ確実に入れてもらうことができます。しかも、実際に本を手にとってめくりながら選ぶことができるので、いわゆるハズレがありません。 また、一人で本屋に行くのとは違った楽しみがあります。あまり予算を気にせず本を選ぶことができるというのはもちろんですが、「自分が選んだ本を他の人にも読んでもらえる」という期待がふくらみます。推薦する楽しみは意外と大きく。「これから大学に入ってくる後輩が勉強するときに、役に立つかもしれない」と考えると、なかなか嬉しいものです。 選書ツアーに参加させていただいてよかったと思います。ありがとうございました。

推薦文

「日本語は死にかかっている」 林望著 NTT出版 2008.10
単に現代の「言葉の乱れ」をどうこう言っている本ではありません。言葉のセンスを磨く上でヒントになることが、平易な語り口で説得力をもって展開されています。読み進むうちに、「こんな嫌な奴だと思われないために気をつけなきゃ!」と心配になるかもしれません。まさに、「話し方は心のありようを映し出す」のです。 気どらず飾らず「生きた言葉づかい」ができるようになるために、そして、本当の意味で品性を備えた話し方を身につけるために、社会人になる前にぜひ読んでおきたい1冊。

「日本語へんてこてん : 古典でわかる!日本語のモンダイ」 あんの秀子著 ポプラ社 2007.7
『問題な日本語』という本が話題になったことなどもあり、日本語ブームの様相を呈している昨今ですが、思わず「よくぞこんな言葉まで取り上げてくれた!」と快哉を叫びたくなる本がこの1冊。 いまどきよく使われる「やばっ」「きもっ」「ありえない」「萌え~」などの表現を、古典に照らして解説しています。著者が指摘する通り、「問題があるとされる言葉でも、古くからの日本語の特質を受け継いでい」ます。自分たちが普段なにげなく使っている言葉がもつニュアンスにも気づかせてくれる好著。

「日本語に主語はいらない : 百年の誤謬を正す」 金谷武洋著 講談社 2002.1
「は」と「が」の違い、わかりますか……? おそらく、ちゃんと説明できる人はほとんどいないでしょう。無理やり説明したとしても、自分自身ホントに納得できているか、怪しいものです。それもそのはず、学校で習う国語文法が根本的に間違っているのだから、当然です。さて、「このままじゃダメだ!」と思った人にはこの本。 「主語病」を鮮やかに斬って捨てる論調は、まさに痛快! 時代遅れの学校文法を完膚なきまでにやっつけています。教師志望の人は教壇に立つ前にぜひ読んでください。目から鱗の落ちる1冊です。

ツアー参加者Bさんの感想・選定図書の推薦文

感想

いつも本屋さんに行くと、自分の興味関心のある分野を一通りみて、帰ってきてしまいます。選書ツアーという時間の中では、普段気がつかない本にふと目が止まったりするゆったりとした時間がすごせました。いままで見たことのない本をひらくのはとても楽しいことでした。

推薦文

「現代社会教育学 : 生涯学習社会への道程」 佐藤一子著 東洋館出版社 2006.9
学校教育を学んでいると、私たちが「教育」に対して持つイメージがいつも「学校」になります。でも、学びおよび教育という営みは、この世の中の至るところに存在しているのだと思います。そこで、日本における社会教育の蓄積を見てみることで、学びのイメージを幅広くすることができます。社会教育に関する書籍はたくさんありますが、今回は、まだ札幌校になかったものということで、こちらを選ばせていただきました。社会教育を取り巻く現代的構造がこれを読むことでよくわかる気がします。

「抗いの条件 : 社会運動の文化的アプローチ」 西城戸誠著 人文書院 2008.11
この冬「年越し派遣村」のニュースが連日流れていましたが、今、さまざまな問題分野で市民の果たす役割が再考されていると感じます。これまでの市民運動の問題点はどこにあるか、これから大切にしていくべきものは何か、非常にホットな課題であるかと思います。社会運動の概説的な歴史の説明に始まり、具体的な事象をいくつも取り上げて社会運動の分析を行っているこの本はとても読みやすく、社会運動をどう見ていくかのきっかけを与えてくれる気がします。

ツアー参加者Cさんの感想・選定図書の推薦文

感想

大学の図書館においてほしい本を、学生自身が本屋で直接選んで即入荷できるというこのツアーは非常に合理的かつ魅力的なものだと思います。特に、3、4年生は、卒論のための参考図書を自分の好きなだけ(とは言っても制限はありますが)選んで図書館に仕入れてもらえるチャンスなので、積極的に利用することを勧めます。やり方は簡単で、紀伊国屋で待ち合わせた後、バーコードリーダーみたいな機械を渡されて、直接売り場で一時間以内に欲しい本のバーコードをピッピッと読み取っていくだけです(ブックハンティングという)。好きな本を好きなだけ選ぶという滅多に味わえない夢のような体験で、とても楽しかったです。また機会があれば参加したいです。

推薦文

「障害のある学生を支える : 教員の体験談を通じて教育機関の役割を探る」 ボニー・M・ホッジ, ジェニー・プレストン‐サビン編 ; 三澤かがり訳 文理閣 , 2006.12
本書は、アメリカにおける高等教育機関に進学した障害のある学生を支えるために、大学教員や周りの関係諸機関がどのようなサポートをしているかという詳細な体験談が事例別に綴られています。そのあまりにも緻密な指導と熱意と努力、そして揺ぎ無い教育に対する信念に胸を打たれました。「教育上の配慮とは、誰もが等しく学ぶ機会をもつことができる教育環境の整備を目的とする」。本書で一番伝えたいことは、恐らくこの一言に集約されています。

「子ども虐待という第四の発達障害」 杉山登志郎著  学研 2007.5
「虐待がどうして発達障害になるの?」という疑問から手にとってみた本です。読んで納得。幼児期の虐待体験が子どもに及ぼす影響は、自閉症やADHD等の症状とかなり類似した行動をみせるだけではなく、脳の構造すら大きく変えてしまうのです。被虐待児がどのような症状や心理的ダメージや発達障害をもつかが、章ごとに詳細に綴られています。教員を目指す方なら、ぜひ読んで欲しい一冊です。

「発達障害と大学進学 : 子どもたちの進学の夢をかなえる親のためのガイド」 アン・パーマー著 ; 服巻智子訳・解説 かもがわ出版 2007.3
自閉症の息子エリックを、深い愛情と熱心なサポートによって見事希望通りの大学に進学させるという夢をかなえた母親が執筆した本です。大学に進学した発達障害者のことをこれほど詳細かつわかりやすく書いている本はないと思います。また、アメリカの特別支援教育が、日本よりも30年くらい早いと感じ、その違いに目玉が飛び出る思いがしました。ノーマライゼーションの本質がここには表れています。特別支援教育に携わる方には、ぜひとも読んで欲しい一冊です。

ツアー参加者Dさんの感想・選定図書の推薦文

感想

このたび選書ツアーに参加させていただき誠にありがとうございました。自分が選んだ本を図書館に入れていただき大変嬉しく思っております。学生時代にできるだけ多くの本を読もうと心がけていますが、本屋でであった本をすぐに買うというわけにはいきません。本のタイトルをチェックし、図書館に行って検索するということが何度もありました。私は書道を専攻しており、必要な専門書はもちろん自分で買います。しかし、書道は本当に奥の深い芸術で、歴史や文化と深くかかわっており、それらに関する本をすべて自分で買い漁るのは到底不可能なことです。今回はこのような機会に恵まれ本当に幸せでした。私が選んだ本はすべてが書道に直結 するものではないのですが、書作や、書道の歴史や文化の根底に関わるものです。学生や留学生のみなさんにも興味をもって読んでいただけるのではないかと思います。

推薦文

「異能の画家 伊藤若冲 」 狩野博幸, 森村泰昌ほか著 新潮社 , 2008.1
伊藤若冲(1716~1800)は、近年飛躍的に人気と知名度を上げている江戸時代の京の絵師である。作品は山水画は少なく、濃彩の花鳥画、とくに鶏の絵を得意とした。代表作「動植綵絵」は鶏、鳳凰、草花、魚介類などがさまざまな色彩のアラベスクを織り成す、華麗な作品。現在は宮内庁が管理している。本書では青物商から画家へと転身した若冲の生い立ちや、作品に隠された秘話を紹介している。鶏に代表される花鳥画のみならず、若冲の作品はとにかく斬新で画風は多岐にわたる。桝目描き、筋目措き、石摺りふう、木版画など、それらが事細かに一般向けにわかりやすく解説されている。

「日本文化における時間と空間」 加藤周一著 岩波書店 , 2007.3
日本文化の特質とは何なのか。本書では時間と空間の二つの軸からその問いの答えをさぐる。文学・絵画・建築などの作品を比較しながら日本文化を貫く時間と空間に対する独特な感覚、筆者はそれを「今=ここ」と捉える。短歌、俳句を引き合いに出しているが筆者は特に松尾芭蕉を筆頭としており、芭蕉の句には時間が停まって、過去なく、未来ない世界があると説く。さらにその感覚(「今=ここ」)は宗教観や自他認識へと及び、この志向が今日のわれわれの日常や政治行動にも現れているとする。留学生にもお薦めの一冊である。

「千字文を読み解く」 野村茂夫著 大修館書店 , 2005.3
中国の「千字文」はいうなれば日本の「いろは歌」である。重複のない千種の漢字を、4字1句とする250句で構成している。さらに、1句おきに韻をふむという韻文の原則にのっとって、偶数番目の句はすべて押韻しており、その前の句と韻をふんでいる句の2句で1対となる125粗からできている。これを作ったのは南朝梁の周興嗣とされる。その内容は中国の古典とその背後にある歴史を豊富に盛り込んだものである。本書はそれを詳しく分かりやすく解説し、さらに漢字1字1字の成り立ちについての説明も多く、充実の一冊である。

「文字講話・続」 白川静著 平凡社 , 2007.2
文字学の権威白川静氏が京都で行った4回の講演会の講話録をまとめたものである。すでに文字講話Ⅰ~Ⅳが出版され、好評を博し、それに続いて刊行された。白川氏の著書は『字統』、『字訓』、『字通』をはじめとして数多くあるが、本書は講話録をまとめたものであり、比較的平易で分かりやすく、講演会に参加した気分で気軽に読める。内容は「甲骨文について」と「金文についてⅠ~Ⅲ」。

募集要項

募集人員:10名(申込書により選考し、決定者には後日連絡をします)
実施場所:(株)紀伊国屋書店札幌本店
実 施 日:2008年11月21日(金) 15:30~17:00
応募〆切:2008年11月17日(月)
応 募 先:図書館カウンター TEL 778-0288(月~金 8:30~17:00の間にお願いします)
応募はメールでも結構です。(メールアドレス: t-unyo@sap.hokkyodai.ac.jp)
件名は「選書ツアー申込」とし、本文には、「氏名」、「連絡先電話番号」、「メールアドレス」、「購入したい図書の分野・テーマおよびその理由」をお書きください。  

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