『創造的人間形成のために ―子どもの絵を考える』 鬼丸 吉弘(著)
推薦者
阿部 宏行(あべ ひろゆき) 岩見沢校 美術文化専攻/教授
推薦のことば
『創造的人間形成のために』は、保護者も含めた、子どもの成長に関わる人に対して
「絵の指導」について、分かりやすい文章で書かれている。
その指導に関する一節がある。
「あの真剣な姿が示している原本的体験を子どもから奪い去り、代わりに大人の色あせた灰色の世界を押し付けるということは、
何という理不尽な仕打ちでありましょうか。
そのようなことをしてよい権利は、私たち大人のどこを探してもないのです。
大人の常識を根拠に、子どもの絵の世界に干渉することがどんなに不当なことか」と、
発達や原理を無視した無謀な指導は、子どもを破壊する以外のなにものでもないと警鐘を鳴らしている。
子どもの絵の表現は、子どもなるが故の必然性の現れであることを理解することから指導が始まるとしている。
亡くなったある札幌の書店の店主は「中学生はこれを読め」という隠れた名著をPRする企画を催した。
ここで言いたい。「教員養成系の学生はこれを読め」である。
目の覚める「喝!」になる。
図書情報
『創造的人間形成のために ―子どもの絵を考える』
鬼丸 吉弘(著)
出版社:勁草書房/出版年:1996年/ISBN:9784326298570
※推薦者の所属・身分は2019年3月時点のものです。
- Log in to post comments