『『罪と罰』を読まない』岸本 佐知子、三浦 しをん、吉田 篤弘、吉田 浩美(著)
推薦者
中川 大 札幌校 言語・社会教育専攻 社会科教育分野
推薦のことば
著名な翻訳家・エッセイスト、小説家ら4人が馬鹿話をしているうちに判明したのが、「わたしたちだれも『罪と罰』を読んだことがない」。
さて、なにしろ馬鹿話の最中である。4人が断片的にもっている情報を手がかりに、ドストエフスキーの『罪と罰』がどんな小説なのか推理することはできないだろうか、とじつに馬鹿な企画がもちあがり、さらに馬鹿なことに文藝春秋という出版社がその企画に乗って本にしてしまったのが、この「爆笑座談会」である。 4人いて、だれも大島弓子「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」も江戸川乱歩「心理試験」も読んでいないのかよ(手塚治虫「罪と罰」は言及されるが、もちろんだれも読んだことがない)、とツッコミを入れたくもなるが、そこは手練の文章家たち、次々と奇想天外な仮想『罪と罰』ストーリーをひねり出す。
読者は腹を抱えて笑っているうちに、読書の神髄に目を開かされる。そう、読書は本を読まなくてもできるのである(いいのか?)。
図書情報
『『罪と罰』を読まない』
岸本 佐知子、三浦 しをん、吉田 篤弘、吉田 浩美(著)
出版社:文藝春秋(文春文庫)/出版年:2019年/ISBN:9784167913205
※推薦者の所属・身分は2022年3月時点のものです。
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