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現代から古代へ、朝鮮から中国、そしてインドへ―「漢文訓読」の大いなる旅路を辿る

『漢文と東アジア―訓読の文化圏』金 文京(著)

漢文と東アジア―訓読の文化圏

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推薦者

関谷 由一  釧路校 地域学校教育実践専攻 国語教育実践分野

推薦のことば

 私たちの生活に欠くことのできないもの、それは文字です。日本語の文字は、漢字・平仮名・片仮名ですが、平仮名と片仮名は漢字を崩したものです。つまり、日本語の文字表現は、元をただすと、全て漢字に行き着きます。漢字とは読んで字のごとし、「漢」、すなわち中国の文字です。漢字は中国語を表現するための文字でした。中国語と日本語とでは、語順をはじめ、文法構造が全く異なります。日本人の祖先は、全く異なる言語である中国語から、漢字を借用しました。その際、日本語の語順や文法、日本語の単語の意味に合わせて、漢字を用いる工夫を生み出しました。それが、漢文訓読です。
 ところが、この漢文訓読、実は日本人がゼロから「発明」したものではなかったようです。近年の研究では、朝鮮やウィグル、契丹、ベトナムなど、中国周辺のさまざまな民族が、それぞれの方法で、漢文訓読に類する作業を行っていたことが明らかになっています。そして、それらの諸民族の「漢文訓読」は、実は中国において、インドから輸入した仏典を中国語に翻訳する作業(漢訳)を通じて、会得された方法であったと考えられるのです。
 本書を読むことで、東アジア文化の歩んだ壮大な旅路を辿ってみませんか。

図書情報

『漢文と東アジア―訓読の文化圏』
金 文京(著)
出版社:岩波書店(岩波新書)/出版年:2010年/ISBN:9784004312628

※推薦者の所属・身分は2022年3月時点のものです。

記事の種類


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