『外国語の水曜日―再入門』黒田 龍之助(著)
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図書の詳しい情報と配架場所をみる:初版
推薦者
砂川 典子 釧路校 地域学校教育実践専攻 英語教育実践分野
推薦のことば
著者はスラヴ系言語(ロシア語やウクライナ語、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語等)、つまり、私たちが日ごろ接することはまずないいわゆるマイナー言語の専門家です。この本は4章立てですが、最も読み易く、また面白いのは、理系大学で学生にロシア語を教えていた時のエピソードが入った第一章の「水曜日の外国語研究室」です。ヨーロッパで使用されている言語とはいえ、英語やフランス語、スペイン語といった言葉とは全く異なる不思議なマイナー言語になぜか惹かれた理系の真面目な男子学生が、ロシア語をせっせと学んだり、ムーミンを原語で読んでみたいといった動機からフィンランド語を学んだりします。彼らは、謎めいた文字や、異なる文法や発音を持つ言葉に悪戦苦闘しますが、時に著者の助けを借りながら、少しずつ上達していくのです。
この本を最初に読んだ時は、世界には本当に多様で多彩な言語が存在しており、どんなにマイナーな言語でも必ず学ぶ人がいるのだなあということに感心しました。
同じ著者の『羊皮紙に眠る文字たち―スラヴ言語文化入門』も大変面白いですよ。『水曜日』と同様、著者の言葉への愛が感じられる、素晴らしい本です。どちらの本も北教大の図書館にありますので、ぜひどうぞ。
図書情報
『外国語の水曜日―再入門』
黒田 龍之助(著)
出版社:白水社/出版年:2021年/ISBN:9784560089217
※推薦者の所属・身分は2022年3月時点のものです。
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