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土着の思想に触発される

『気流の鳴る音』 真木 悠介(著)

気流の鳴る音

図書の詳しい情報と配架場所をみる:岩波書店(2012年版)
図書の詳しい情報と配架場所をみる:筑摩書房(1977年版)

推薦者

前田 和司(まえた かずし) 岩見沢校 スポーツ文化専攻/教授

推薦のことば

私が大学院生の頃に出会った一冊です。
現代社会が直面している人と人、人と自然の関係性をめぐる問題の原因を、近代以降に世界を覆いつくした市民社会が自明の前提にしている諸感覚に求め、
それらを土着の思想の生き方の魅力を提示することで「つぎつぎとつきくずす」、1970年代を代表する名著です。
10数年前、人と社会と自然の関係をより良いものにしていくというアウトドア・ライフコースを岩見沢校に新たに構想するに当たって、
その哲学的ベースのひとつになった論稿です。

人類学者カルロス・カスタネダのメキシコ・ヤキインディオの呪術師の世界を描いた一連の著作の解説を軸に、
人と人、人と自然の閉塞した関係性が逆照射されていきます。
とりわけ、「序『共同体』のかなたへ」は、先住民族の土着の詩を通じて、彼らの自然に対する感応の深さやゆたかさが表現され、
一方で市民社会に生きる我々がどれほどそれらを喪ってしまっているかが突きつけられます。
また「彩色の精神と脱色の精神」では、支配の欲求、出会いへの欲求という、
我々が人や物事とかかわるときの関係性を決定づける意識について独特な言葉が与えられ、イマジネーションを触発されていきます。

図書情報

『気流の鳴る音』
真木 悠介(著)
出版社:岩波書店/出版年:2012年/ISBN:9784000284912

※推薦者の所属・身分は2019年3月時点のものです。

記事の種類


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